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2009/07/28 (Tue) 文楽「女殺油地獄」

女殺

 文楽(人形浄瑠璃)が好き。寝ても覚めても文楽のことばかり考えている時期があった。2005年~2006年にかけては全公演に足を運んだ。毎回購入している床本は今回の公演で21冊になる。文楽にハマったきっかけは2004年夏休み公演のサマーレイトショー「女殺油地獄」(原作・近松門左衛門)。以下、あらすじ・原文引用・感想と続く。

 あらすじ

 河内屋与兵衛はどうしようもない遊び人だった。親に金をせびり、暴力をふるい、ついに勘当されてしまう。数日後、ふらふらと豊島屋の前にやってきた与兵衛は、彼を気遣う両親の愁嘆を立ち聞いて真人間になろうと決意する。しかし与兵衛は親の名義で借金をしており、その返済期限が明日に迫っていた。両親が去った後、普段から世話になっている豊島屋のお吉に、真人間になるから返済の為に金を貸してくれと懇願する。夫の留守中は無理だと断られると、ならば油を貸してくれと頼み、油を汲んでいる彼女の背後に脇差しを抜いて近づく。灯に映った刃物に気付きお吉は逃げるが、与兵衛は斬りつけ、油と血にまみれた油地獄の惨殺劇が始まる……。



 床本の紹介
 油地獄の場面

「アヽ/\。そんなら声立てまい。今死んでは年端もいかぬ三人の子が流浪する。それが可愛い、死にともない。金も入る程持つてござれ。助けて下され与兵衛様」
「オヽ死にともない筈。尤も/\。こなたの娘が可愛い程、おれもおれを可愛がる親仁がいとしい。金払うて男立てねばならぬ。諦めて死んで下され。口で申せば人が聞く。心でお念仏南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
と引寄せて右手より左手の太腹へ、刺いては刳り抜いては切る。お吉を迎ひの冥途の夜風、はためく門の幟の音。煽ちに売場の火も消えて、庭も心も暗闇に打撒く油流るゝ血。踏みのめらかし踏みすべり、身内は血汐の赤面赤鬼、邪見の角を振立てゝ、お吉が身を裂く剣の山目前油の地獄の苦しみ。軒の菖蒲のさしもげに、千々の病は避くれども、過去の業病遁れ得ぬ、菖蒲刀に置く露の魂も乱れて息絶えたり。

 殺害後~ラスト

日頃の強さ死顔見て、ぞつとわれから心もおくれ、膝節がた/\がたつく胸を押下げ/\、提げたる鍵を押取つて覗けば蚊帳のうちとけて、寝たる子供の顔付さへわれを睨むと身も顫へば、連れてがらつく鍵の音頭の上に鳴神の、落ちかゝるかと肝にこたへ、戸棚にひったり引出す打飼、上銀五百八十匁宵に聞いたる心あて、捻込み/\懐の、重さよ足もおもくれて、薄氷を踏む火焔踏む。この脇差は栴檀の木の橋から川へ、沈む来世は見えぬ沙汰。この世の果報の付き時と、うちを抜け出で逸散に、足に任せておしてるや

 全文を読みたい方は
コチラ



 僕は悪役である与兵衛に感情移入した。父が死に、番頭から主人におさまった義父徳兵衛に育てられるのだが、使用人だった立場上、徳兵衛は主人の忘れ形見である与兵衛を叱ることができない。与兵衛はそんな徳兵衛を親と認めない。母のお沢は放蕩する与兵衛に厳しく接する。実直な兄や妹も与兵衛をなんとか更正させようと画策し、与兵衛は追い詰められてゆく(←今風に言えば、「誰も分かってくれない」)。挿入されるエピソードからは与兵衛の見栄っ張りで小心な性格が見え隠れする。

 自分を認めてくれない周囲や世間に反発する気持ちは誰しも少なからず持っている。臆病な与兵衛はその気持ちを態度に示すことで虚勢を張り、自我を保ってきた。しかし、偶然通りがかった豊島屋で両親が本気で与兵衛の事を心配しているのを知る。見栄っ張りな与兵衛が、お吉に借金を告白し「不義になって貸して下され」と懇願する。しかし、お吉はいつもの口実だと決め込み相手にしない。

 ようやく見えた希望があっさり握りつぶされた時の絶望。殺人を肯定するわけではないが、与兵衛の衝動には説得力があった。親孝行をしたいのに、親不孝をするという選択肢しかない現実。油地獄の果てにお吉を惨殺し、震えながら豊島屋から逃げて行く彼の足取りは圧巻だった。盗んだ金をこぼしながら、暗闇の中へ消え去るところで幕が下りる。4列目という人形の表情がしっかり見える良席。しばらくは鳥肌が治まらなかった。



 7月18日~8月5日まで大阪の国立文楽劇場(地下鉄日本橋駅すぐ)にて夏休み特別公演を開催中。演目など詳細は下記の公式サイトにて。オススメはシェイクスピアの「テンペスト」を翻案した「天変斯止嵐后晴」(第3部サマーレイトショー{19時~21時})。短めで話も分かりやすいので、文楽初体験の方もぜひ。学割(半額の2300円)あり。

国立文楽劇場 公演情報
http://www.ntj.jac.go.jp/performance/2656.html



【追記1】 今年の2月の東京公演で「女殺油地獄」が上演された。下記リンクはそれを観劇した方の感想。この方のように、与兵衛はクソ野郎という認識が一般的だと思われる。
http://asupanda.blog6.fc2.com/blog-entry-329.html

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